旅の居心地【フィンランド編(0)序章。ひたひたに、心満たされたフィンランド】
2024年夏、わたしは2つ、夢を叶えた。
ひとつは、伴侶と一緒に、大切な人たちに囲まれて最高の結婚式を挙げること。
ふたつめは、北欧・フィンランドへ行くこと。

最初に「行きたい」と思ってからもう何年だろう?
ついに訪れたその場所は、とてもとても居心地がよかった。
ちょうどよい加減のお湯にずっと浸かっているような毎日。
日本以外の国に対して、こんなに心の底から「住みたい」と感じたのははじめてだ。
帰国してからもう2か月経つ。
すっかり日常に戻ったわけだけど、
フィンランドで撮ったたくさんの写真や動画を見返すと、
その場で吸った空気やみた景色、味わった食べ物を鮮明に思い出して
すーっと深く呼吸できるような気がする。

短い滞在だったけど、わたしにとってフィンランドは、特別な国になった。
期待値大。憧れの場所
物心つくかつかないかの頃から。
ムーミンが、
サンタクロースが、
『かもめ食堂』が、
北欧神話が、
マリメッコが、
ファッツェルのチョコレートが、
そして数々の旅行ガイドやエッセイが、
幾度となくわたしの心をフィンランドという国へいざなった。

と言っても、24時間常に恋焦がれてきたわけじゃない。
2019年のお正月にはデンマークとスウェーデンを旅行したのに、すぐ近くのフィンランドは回らずに帰ってきた。
でも、燃える焚火がパチパチッと勢いづくように、ときどき強く思っていたのだ。「フィンランドに行きたいな」と。
一番その熱が高まったのは、3年前の秋。
週末北欧部chikaさんの『マイ・フィンランド・ルーティン100』を読み、
chikaさんの人柄にも惹かれたわたしは、すっかりフィンランドかぶれになっていた。
週末北欧部chikaさんのX(Twitter)
その頃noteにあげた感想文は、過去わたしの書いた記事の中でいちばん多くの「スキ」をいただいて、なんとご本人にもXでリポストいただいた。
当時はコロナ禍の影響もあり、先述のデンマーク・スウェーデン旅行を最後に海外渡航はご無沙汰。
わたしの胸には「次に海外へ行くなら絶対フィンランド!」としっかり、深く刻まれることとなる。
だから去年入籍し、「新婚旅行はどこに行く?」となったらもう、それはフィンランド以外ありえなかった。
なんだかんだで、フィンランドよりも先に韓国に行ったのだけど。
でも韓国は韓国で、そのタイミングだから得られた気づきもたくさんあって本当によかった。そのときのことを書いた記事はこちら。
そんなわけで、フィンランドという国への期待値を高めに高めた状態で、
結婚式を無事終えた7月の終わり、ついに彼の地を踏んだのであった。
想像以上に素晴らしい、夏の北欧
こんなに期待のハードルが高まっていたにも関わらず。
本物のヘルシンキの街は、想像していたよりもっともっと素敵な場所だった。

もちろんそれは、北欧でもっともよい時期と言われる夏に旅したおかげな部分が大きいだろう。
適度な気候。
みずみずしい果物や野菜が並ぶ、海辺のマーケット。
木々の濃い緑と、そこかしこで咲く花。
白夜のため日がとても長く、
海も湖も太陽を浴びてキラキラと輝き、
街を歩けばそこらじゅうのテラス席で
コーヒーやビールを片手におしゃべりする人々を見かける。
ここ数年でいちばん体を軽く感じ、
毎日たくさん歩いて、
たくさん食べて、
たくさん笑った。
生きててよかった、と思えた瞬間
滞在4日目。
ヘルシンキの中心部を離れて、ヌークシオ国立公園を訪れた。

『かもめ食堂』のロケ地にもなった、広大な森林と湖を抱く自然公園。
その中にあるホテル「ハルティア・レイクロッジ」に一泊したのだ。
夫と「ここにいる間はデジタルデトックスしよう」と決めて、翌日までスマホの電源は落としておいた。
ハイキングコースでブルーベリーを摘んだり、サウナに入ったあと木々に囲まれて外気浴をしたり。

なんだか、いちばんシンプルな自分へ帰っていくような、ゆったりとした時間が流れていく。
そして、なかなか日が落ちない長い夕方に、バルコニーに出て、ハーブティーを片手に空をぼんやり眺めていたとき。
「あぁ、生きててよかったなぁ」と思った。

今も適応障害の服薬治療を続けるわたしが、春先に心底「死んでしまいたい」と思った時から、およそ4ヶ月が経っていた。
この場所の居心地を忘れない
元気をくれたフィンランド。その居心地を、ずっと忘れたくない。
帰国してから約2か月。
お土産で買ったファッツェルのチョコはそろそろ底をつくけれど、
週末北欧部chikaさんの新刊や、
朴沙良さんの『ヘルシンキ生活の練習』を読んだり、
東京の中でフィンランドや北欧を感じられる場所を訪れては余韻に浸っている。

夫とは「どうすればフィンランド移住が叶うのか」談義を、たびたび交わす。
今のところ有力なのは、美味しいプリン屋をヘルシンキで開業して現地の人気ものになる、FPI(フィンランドプリン移住)計画だ。
甘いものの豊富な彼の国で、なぜかプリンを見かけなかったので。
そして、どうしても自分の”はたらく”とフィンランドをつなげたかった私は、新しいバイトを始めることにした。
各地のデパートや商業施設で行われている、北欧雑貨・食品販売の催事のお手伝いだ。
先日、さっそく新宿で開催された催事にスタッフとして参加してきた。
久しぶりにフルタイムの立ち仕事・接客仕事に連日体はクタクタだったが、
どこを見ても「スキ!」とときめくアイテムに囲まれて働くのはとても楽しい。

何より、お客さんとお話しする時間が幸せだった。
わたしと同じように北欧に惹かれて、生活にそのエッセンスを取り入れようとお買い物をしに来るお客さんたち。
中には、体調などを理由に、どうしてもこの先現地へ行くのは難しい…と話す方もいた。
「でもね、こうやって日本にいても(北欧のものを)お買い物ができるんだから嬉しいわよね」
その言葉に胸がきゅう、となり、嬉しいような切ないような気持ちになった。
わたしが居心地について文章を書く目的は、「いつでもどこでも自分にとってのよい居心地を、自分の手でつくること」。
まさにそのお手本のようではないか。自分がときめく、心地のよいものを手元にあつめて、身のまわりを彩る生活。
フィンランドにはまた行きたいし、ちょっと本気でワーホリを調べたりもしている。
だけど、何度行ってもきっと最後には必ず日本に戻ってくるだろうし、何よりわたしが今暮らしているのは他でもない、ここ、東京だ。
旅行のあと、わたしはしばらく体調を崩した。
蒸し暑くて、人がわんさかいて、日々色々なことに追われる日常に削られて、なぜか涙が止まらなくなったこともある。
せっかく「生きててよかった」と思えた瞬間があったのに。
これではいけない。どんな環境でも、わたしは自分の居心地を、守りたい。

だから少し時間は経ってしまったのだけど、やっぱりこのブログで居心地のよかったフィンランドを振り返って行こうと思う。
いまこの毎日を、あの幸せな旅の時間と同じくらい、居心地よく過ごすために。
それにしても、わたしはいつも書きすぎる。序章のくせに長くなった。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。フィンランド編、なるべくこまめに更新できるようにがんばるぞ。








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