カフェラテよりもカフェオレが好き。けれど、街で出会うカフェではカフェラテばかりよく見かける。カフェオレももっと登場してほしい。
千歳烏山で歯医者の診察を終え、時間があったので、すこし歩くけど給田にある書店兼カフェのcommon houseを訪ねてみることにした。
おなじ世田谷区で生まれ育ったけど、給田はほとんど来たことがない。商業地域から離れ、マンションや団地の並ぶ住宅街を歩くのはすこしどきどきする。知らないひとの日常生活へ勝手に踏み入っているような背徳感をかすかにおぼえながら、Googleマップをたよりにお店を探した。
common houseは知り合いに教えてもらった場所だ。アパートのような建物のとびらを開けると、すぐに「わたしはこの場所が好きだ」とわかった。好きだ、と思った書店では、かならず本を買うと決めている。棚にならぶ背表紙を吟味して、一冊を選び取りカウンターへ向かう。
「なにか飲まれますか?」と、会計をしながらお店のひとがきいてくれた。わたしの目はカウンターに置かれたメニュー表へ注がれていた。せっかくなら一杯いただいていきたいと思っていたのだ。奥にある、なんとも居心地のよさげな畳の間も気になっていた。
どれにしようか、と悩むより先に、「カフェオレ」の文字が目に飛び込んできた。おお、カフェオレがある。オーツミルク変更で、ホットを一杯注文した。
畳の間にはちゃぶ台と、押し入れを改装したカウンター席があった。カウンターのほうへ荷物をおろすと、ちゃぶ台にいた先客の方が「寒くないですか?」と電気ストーブをこちらへ向けてくれた。
やがて運ばれてきたカフェオレは、ほんのり甘くてやさしい、わたしの好きな味だった。広口の、ぶ厚めに焼かれた陶器のカップに入っている。これはもしかしてカフェオレボウルというものじゃないかしら。そう思って検索してみたら、一般的なカフェオレボウルには取っ手がついていないとのことだった。フランスの伝統で、朝ごはんのとき、両手で包むようにして飲むらしい。
きっとフランス人はカフェオレを飲むときは、その一杯をじっくり楽しむのだろう。朝から優雅なことだ。
それはそれで素敵だけど、やっぱり取っ手はついていたほうが便利だよなあ。今もこうして片手でカフェオレ飲みながらキーボード打ててるんだから、と思うわたしには、どうやらフランス的な生き方は向いていないのであった。